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Channel: 死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日~InBook.jp
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あとで、阿部はこの時、はるばる柏崎から“応援部隊”が、いわき...

あとで、阿部はこの時、はるばる柏崎から“応援部隊”が、いわきまで来ていたことを知った。 「柏崎で私が教えてた原防の消防隊のメンバーの中で、二十五歳前後の二人が、先に来ている私らが大変だろう、ということで、志願して、いわきまで来てくれていたことを知りました。(P285)コメントする | ReTweet

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社員の命を心配する社長を、阿部の熱意が揺り動かした瞬間だった...

社員の命を心配する社長を、阿部の熱意が揺り動かした瞬間だった。 「すみません、迷惑かけてすみませんでした。ありがとうございます」 阿部は、やっと福島第一の現場に戻ることができたのである。危険な現場に向かうというのに、阿部の気持ちは「ありがとう」だったという。(P284)コメントする | ReTweet

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行って、助けてやりたい。阿部はそう思った。だが、それは許され...

行って、助けてやりたい。阿部はそう思った。だが、それは許されなかった。 「やはり私たちは協力企業ですから、自分たちの社長の指示に従わなければいけません。東京本社にいる社長が、社員をそんな危険なところに行かせるわけにはいかないと、現場に行くことを許してくれなかったんです。(P282)コメントする | ReTweet

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「トイレは水も出ないから悲惨ですよ。流すこともできませんから...

「トイレは水も出ないから悲惨ですよ。流すこともできませんからね。みんなして仮設のトイレを運んできて、それが一杯になったら、また次の仮設トイレを組み立てながらやってましたけど、とにかく真っ赤でしたよ。みんな、血尿なんです。(P278)コメントする | ReTweet

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すでに、身体はぼろぼろになっていた。免震重要棟のトイレは、真...

すでに、身体はぼろぼろになっていた。免震重要棟のトイレは、真っ赤になっていた、と伊沢は言う。(P278)コメントする | ReTweet

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この後、私たちは、また中操に行くんですけど、もう、覚悟決めた...

この後、私たちは、また中操に行くんですけど、もう、覚悟決めた人間ですから、行くのはどうということはなかったです。それより、こいつまで殺しちゃうのか、と心配しなくちゃいけない人間はみんないなくなって、“死んでいい人間”だけになりましたから。悲壮感っていうよりも、(P277)コメントする | ReTweet

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その時、黙っていた吉田所長が静寂を打ち破るように、こう言った...

その時、黙っていた吉田所長が静寂を打ち破るように、こう言った。 「なんか……食べるか?」 それは、事態の深刻さとあまりにかけ離れた言葉だった。(P276)コメントする | ReTweet

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その時の静けさが伊沢は、脳裡から離れない 「みんなが、ウワ...

その時の静けさが伊沢は、脳裡から離れない 「みんなが、ウワーって避難して、出尽くしたじゃないですか。そのあとって、残るべき者が残って、終わった時は、すごく静かでしたよ。シーンとした中で残った者がお互いの顔を見ました。いや、悲壮感じゃないですよ。笑顔って言ったらあれだけど、(P276)コメントする | ReTweet

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深く礼をした佐藤は、もう振り返らなかった。 「私は、振り返...

深く礼をした佐藤は、もう振り返らなかった。 「私は、振り返りませんでした。神聖な雰囲気ですから、その円卓に座っている五十人ほどは、もう死に装束で腹を切ろうとしてる人たちですから、振り返るなんて、そんな失礼なことはできませんでした。私らみたいな雑兵はやっぱり、そそくさと出るだけで(P275)コメントする | ReTweet

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その時、佐藤は自分でも驚くぐらいの大きな声で叫んでいた。 ...

その時、佐藤は自分でも驚くぐらいの大きな声で叫んでいた。 「あなたたちには、第二、第三の復興があるのよ!」 それは、緊対室中に響く声だった。佐藤は必死だった。そうでも言わなければ、彼らは退避することを拒みつづけるだろう。時間はなかった。(P274)コメントする | ReTweet

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免震重要棟には、この時、佐藤のような女性がまだ大勢残っていた...

免震重要棟には、この時、佐藤のような女性がまだ大勢残っていたのである。(P271)コメントする | ReTweet

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「お世話になりました」 若い人間が伊沢に挨拶して出ていった...

「お世話になりました」 若い人間が伊沢に挨拶して出ていった。目に涙を浮かべて部屋を出ていった者もいる。 しかし、出ていくのは、若い人間だけではなかった。当然残るだろうと思っていたベテランの中にも荷物を持って出ていく者もいた。 生と死の瀬戸際は、どんな時でも残酷だ。(P270)コメントする | ReTweet

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「六十になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ! 俺も...

「六十になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ! 俺も行く。社長も会長も覚悟を決めてやれ!」(P263)コメントする | ReTweet

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「撤退したら、東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げ...

「撤退したら、東電は百パーセントつぶれる。逃げてみたって逃げきれないぞ!」 逃げる? 誰に対して言っているんだ。いったい誰が逃げるというのか。この菅の言葉から、福島第一原発の緊対室の空気が変わった。 (なに言ってんだ、こいつ)(P263)コメントする | ReTweet

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私は官邸にずっと閉じ込められていますから、官邸側と同じような...

私は官邸にずっと閉じ込められていますから、官邸側と同じような心理状態なんです。それに対して、東京電力や保安院なんかについては、ものすごい不信感を持ってます。当時、官邸は東京電力をまったく信用していない。なに言ってるんだ、東京電力は、という思いになっていたのは、よくわかりますよ」(P260)コメントする | ReTweet

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清水社長の説明不足と、報告を受けた政治家の誤解が、のちに国会...

清水社長の説明不足と、報告を受けた政治家の誤解が、のちに国会でも議論される「全員撤退問題」となったのである。班目は、東電をこう批判する。 「私、言っておきますけど、政治家には多分に同情的なんです。だって、専門的なことは政治家にはわからないんですからね。(P260)コメントする | ReTweet

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「私はあの時、自分と一緒に“死んでくれる”人間の顔を思い浮か...

「私はあの時、自分と一緒に“死んでくれる”人間の顔を思い浮かべていたんです」 吉田は、その場面をこう回想した。 「その時、もう完全にダメだと思ったんですよ。(P252)コメントする | ReTweet

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「確認だ。確認!」 吉田の指示に、 「……のはずです」 ...

「確認だ。確認!」 吉田の指示に、 「……のはずです」 そんな報告が来ることもあった。 「“はず”じゃやねぇ、バカ野郎!」 さらには、 「おまえ、“はず”で動くか、バカ野郎!」 そんな吉田の怒声が緊対室で飛んだ。(P246)コメントする | ReTweet

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緊対室は一転、喧噪に包まれた。 「ガンマー、中性子など変化...

緊対室は一転、喧噪に包まれた。 「ガンマー、中性子など変化はありません!」(P239)コメントする | ReTweet

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その道理がわかる専門家が沢山いるはずの本店が、こともあろうに...

その道理がわかる専門家が沢山いるはずの本店が、こともあろうに「中止」を命じてくるとは、吉田もさすがに腹に据えかねたのである。(P221)コメントする | ReTweet

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